金融機関対応のコツ

融資の審査時に、主に決算書だけで判断する金融機関もあれば、個人や家族のことまで詳細に聞きとりをする金融機関もあります。それぞれの金融機関の特性を知っていると、余計なストレスを感じることなく対処できます。

 

金融機関の種類を大きく分けると、メガバンク地方銀行信金信組、政府系になります。いずれの金融機関も商品は融資(お金)ですが、各金融機関の価格(金利)と審査の方法は違います。

 

総じて価格(金利)が安いのはメガバンク政府系金融機関です。同じ商品であれば、当然価格が安いところにお客様は集まりますので、メガバンクは多くの見込み客の中から融資先を選定することが可能です。よって、メガバンクは、数多くの見込み客の中から、無理をせず、信用力の高い企業とだけお付き合いをしようとします。

 

一方、お金の仕入れコストが高い信金信組は、価格(金利)でメガバンクに勝てません。メガバンクから0.7%の金利で融資を受けられる優良企業が、わざわざ2.5%の金利で融資を受ける理由はありませんので、信金信組は、メガバンクが融資をしない企業の中から融資先を探すことになります。

 

企業の信用力が違えば審査の方法も変わります。メガバンクの審査はシンプルです。決算書を見て、業績や財務内容の良い企業に融資をします。決算書の内容が悪ければお断りします。業績や財務内容に問題のある中小企業に対し、審査に手間暇をかけて融資をしようという姿勢はあまりありません。

 

一方、価格競争力で劣る信金信組には、決算内容が超優良な企業は集まりませんので、決算書だけで審査をしていては、融資をする先がいつまでも見つかりません。よって、社長個人、配偶者や子息の資産状況等も調べ、融資出来る材料を何とか見つけだそうとします。

 

個人的な家族構成や資産状況等を詳細に聞かれるのは、気持ちが悪いと感じる方も少なくないでしょう。中には、金融機関に情報を与えすぎるのは良くないと考え、あえて少ない金額を申告する方もおられます。決算書だけで勝負できる、もしくはそこまでして借りる必要が無いのであれば問題ありませんが、借りる必要があるならば逆効果です。

 

メガバンク信金信組だけでなく、メガバンク信金信組の中でも違いがあります。各金融機関の特性を理解することで、「今まで一度も個人資産のことなど聞かれた覚えはない!」と怒ることなく、金融機関とスムーズに話を進められるようになります。

梅谷

税金が原因で倒産?

あるインターネット関連企業が経営難に陥りました。マスコミでも時々取り上げられていた名物社長は、税金の支払いを要因のひとつにあげています。分割払いに応じてもらえると高を括っていたが、「1週間以内に全額を支払わない限り、財産を全て差し押さえる」と国税から通達されたことが誤算だったようです。

 

このニュースを見た顧問先様から、税金対策をしたいとの連絡がありました。この顧問先様は、設立1年目

ながら業績が好調で、今期初めて迎える決算では1,000万円程度の利益が見込まれています。

ニュース同様、納税資金が手元にないとのことでした。

 

「利益は出ているのに手元に資金が無い」というのは良く見受けられるケースです。ただ、利益以上の税金が

発生することはありませんので理論的には必ず払えるはずです。なぜ税金の支払いに苦しむ会社が多いので

しょうか。

 

まずは消費税から考えてみます。消費税は企業が負担するものでは無く、消費者が負担する税金です。企業は

売上と一緒に消費者から税金を預かっているだけなので、預かった消費税をそのまま期日に納税すれば良いはずです。期日に納税資金が無いという事は、預かった税金を自社の事業資金に充ててしまっていることを意味します。一時的に事業資金に使用することはあっても、預かっているお金であることをしっかりと認識することが

大切です。

 

次に法人税です。法人税は利益に応じて一定の税金を納めます。

利益が出ているにも関わらず税金が払えないのは、納税の時点では「利益がまだ現金化されていない」という

ことがひとつの要因です。

その時点での利益は、「売掛金」や「在庫」の状態となっていますので、税金の支払いに充てることが出来ません。法人税は最大でも利益の40%程度ですから、売掛金や在庫が現金化されれば支払いは可能です。税金の支払いに苦しむ理由は、「金額」では無く「支払いの時期」にあります。

 

支払い時期の問題を解決する方法としては、「支払いを待ってもらう(分割にしてもらう)」「借入で支払う」

などがあります。顧問先様に対しても、「税金は借入で支払えば良いので、思い切って利益を出してください」とお伝えしました。顧問先様の反応は「えっ!税金を払うために借金をするのですか?」というものです。

「利益」の仕組みを知らなければ当然の反応でしょう。

 

納税のための借入は、やがて現金化される利益で返済が可能なリスクの小さな借入です。税金の事を考えて、

無理に利益を減らすような経営は会社を弱らせます。利益が出ていれば必ず税金は払えますので、安心して利益を出しましょう。

 

梅谷

資金調達のために必要なこと

・新店舗の出店資金が欲しい。
・仕入れの支払い資金が欲しい。
・人件費の支払い資金が欲しい。・・・

さまざまな場面で資金調達は必要です。しかし、資金調達に
絶対的な自信を持っている社長様はあまりおられません。
「どうすれば資金調達が上手くいくのか。」ということは、
社長様の大きな関心事のひとつです。

言うまでもありませんが、資金調達を成功させる最大の方法
は「好業績を上げること。」です。資金は経営の上手な社長
様に集まります。資金が先か業績が先かという議論はありま
すが、まずは手元にある資金で最大限の業績を上げることが
近道です。

業績の次に重要なことは、「上手に説明をすること。」です。
同じぐらいの業績であれば、自己アピールの良し悪しで結果
に差が出ます。初めてお付き合いを始めるときはもちろん、
すでにお付き合いがある場合でも、「分かってくれているだ
ろう。」「察してくれ。」というスタンスは禁物です。「説
明がくどすぎるかも。」と感じるぐらいで丁度です。下記に
金融機関に対する説明のポイントを挙げます。

◆自己紹介
世の中には悪意を持って金融機関に近づいてくる人がいます。
「自分を騙そうとしているのではないか。」と疑心暗鬼にか
られると、服装や細かな所作まで気になってしまうものです。
まずは、自身が何者であるか、どのようなキャリアを積んで
きたのかを説明し、担当者を安心させてあげることから始め
ます。

◆実績の説明
金融機関にとっては、過去、および現在の事業実績が最も重
要です。決算書をポンと渡すだけでは不十分で、このような
結果に至った理由(背景)も説明します。この時に注意をし
たいのは、専門(業界)用語を使いすぎないことです。恥ず
かしい話ですが、私は新入行員のとき、ある社長様が連発す
る「リューベ(立法メートルのこと)」の意味が分かりませ
んでした。相手は業界のことを全く知らない新入社員という
前提で、分かりやすく伝えるよう心がけます。失礼かな?と
いう遠慮は不要です。

◆将来の説明
申し分ない実績があれば将来の説明は薄くても問題ありませ
ん。しかし、実績が不十分であればあるほど、将来の説明を
熱心に行う必要があります。十分な実績を上げられなかった
要因を明確にしたうえで、今後どのように改善していくのか
を提示できなければ、新たな融資は期待できません。

資金調達に苦慮している。」というご相談のうち、半分は、
やはり過去の実績から融資を受けることが難しい会社様です。
しかし、残り半分は、融資を受けられる実績があるにも関わ
らず、説明不足が原因で断られている会社様です。貴社は後
者の会社様ではございませんでしょうか。

消費税の還付はありがたい

円安の影響もあってか、最近輸出を目的として事業を始められる方が多いです。

国内から輸出される資産の譲渡または貸付けを行った場合には、消費税は免除されています(消費税法第7条)。

その一方で、輸出のための仕入商品にかかる消費税や輸出のための諸経費にかかる国内消費税は、所定の手続きを踏めば、還付を受けることができます。

 

では、還付を受けるための所定の手続きとは?

 

1. まず、消費税課税事業者になる必要があります。 消費税の還付を受けるには、消費税課税事業者であることが条件なのですが、新設会社の場合、売上実績がなく、通常は消費税免税事業者になるため、何もしなければ還付をうけられません。そのため、まず消費税の課税事業者になるために、所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書(第1号様式)」を提出しなければなりません。新設会社の場合、設立事業年度の末日までに届出書を提出すれば、設立初年度から課税事業者となることができます。

2. 消費税の還付申請をする。

課税期間の末日の翌日から2カ月以内に下記書類を所轄税務署長へ提出し還付申請します。

3. 課税期間の変更により、早い段階で還付をけることもできる。

輸出専業事業者の場合は、「消費税課税期間特例選択・変更届出書(第13号様式)」を提出すれば課税期間は1カ月または3カ月ごとに短縮され、1年に12回または4回の還付申請ができます。

還付申請回数を増やせば、早いタイミングでお金が会社にもどってくるため、資金繰りの状況が改善します。

売上割引の取り扱い

前回に引き続き、売上割引の実務上の取り扱いをご紹介したいと思います。

 

売掛金を期日前に回収した場合に取引先に支払う売上割引は、会計上支払利息に準ずるものとして営業外費用に計上することとされています。しかし、消費税では、売上割引は支払利息ではなく、売上高のマイナス項目として取り扱うこととなりますので注意が必要です。

 

 また、買掛金を期日前に支払った場合に取引先から収受する仕入割引は、会計上は受取利息に準ずるものとして営業外収益に計上することとされているのに対し、消費税では仕入高のマイナス項目として取り扱うこととなります。

 仕入割引は受取利息ではありませんので非課税売上高とはなりません。したがって、課税売上割合の分母に加算する必要もないということになります。

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梅谷

販売奨励金の取り扱い

雑貨品等の卸売業を営む企業様から、取引先に金銭で支払った販売奨励金の処理に関して時々ご相談を受けます。

法人税法上は販売管理費として計上することになるのですが、問題は消費税の取り扱いです。

課税売上につき、返品や値引きが発生した場合には、課税標準額は返品や値引高を控除する前の総売上高ベースで計算し、返品や値引高に対する消費税は、「売上げに係る対価の返還等」に該当します。ここで、税額控除ができるのは、課税売上に対する返品や値引きだけでなく、金銭による割戻金、販売奨励金も対象となります。

したがって、取引先に支払った販売奨励金は課税仕入ではなく、課税売上高のマイナス項目として税額控除の対象にするとともに、課税売上割合の計算上、課税売上高から控除することとなります。

また、課税仕入につき、返品や値引きが発生した場合には、その返品や値引き高に対する消費税は課税仕入れ等の税額からマイナスすることとされています。

実務上、消費税の課税区分にあたっては、勘定科目による判断に偏りがちになってしまいますので、留意が必要です。

一方、購入した課税物品を取引先に進呈し、販売促進費として処理した場合には、金銭による販売奨励金ではないので「売上げに係る対価の返還等」には該当せず、対価性のない取引として消費税の課税の対象となりません。

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梅谷

最近多い特定派遣事業の会社設立

皆さまこんにちは、大阪会社設立応援団の梅谷です。

最近、会社設立と同時に特定派遣事業の許可申請をされる方が増えています。

その理由で一番多いのは「先方からの要請」です。

それもそのはず、特定派遣事業の許可を受けた会社は、派遣者の保険関係の整備や、事務所としての体裁、派遣元責任者の常駐など、その信頼性が飛躍的に高まります。

ただ、その分許可申請のためにはいくつか突破しなければならないハードルがあります。その中でも、実務上問題になるケースが多い部分をご紹介したいと思います。

 

①派遣される従業員はその会社の代表者・派遣元責任者にはなれない

表題のとおりです。以前まで派遣会社に勤務されていた方が会社設立をお考えの場合、ご自身で両方を兼ねることができませんので、代表者・派遣元責任者の選任が必要になります。なお、代表者と派遣元責任者を兼ねることは可能です。

 

②派遣元責任者の常勤性

派遣元責任者は常勤であることが求められます。そのため、他の会社の常勤役員や常勤従業員の方は派遣元責任者にはなることができません。

 

③派遣元責任者の経歴

特定派遣事業の届出には、派遣元責任者の経歴を提出します。その中で、「成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者」という要件が必要になってきます。これには、人事・労務を統括する役員や、人事、総務部長といった役職の方や、支店長、工場長等の経験がある方ならクリアできます。

 

④派遣従業員の各種保険の加入

派遣従業員は社会保険、労働保険に加入しなければなりません。ここで注意しなければならないのは、同居親族内で代表者、派遣元責任者、派遣従業員を構成してしまうと、派遣従業員は労働保険に加入できませんので、要件を満たせなくなるので注意が必要です。別居の親族、例えば派遣従業員の奥様のお父様等が代表者・派遣元責任者になれば保険の問題は生じません。

 

⑤事務所としての実態

まず、賃貸契約書の使用目的が「居住目的ではNGです」。さらに、賃貸契約書の提出と同時に見取り図も必要で、鍵付き倉庫やロッカーの有無も確認されます。また、場合によっては実際に事務所に調査に来られることもあります。

以上ポイントのみ記載しましたが、なかなか手続きが煩雑で時間がかかります。

ご自身で進められるに越したことはありませんが、適切な専門家にご相談されることをお勧めします。

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梅谷